特別企画 話音倶楽部スペシャルリサイタル
2014年9月27日(土)
2014年9月27日(土) 午後5時開演
【出 演】
望月 豪(マンドリン)
今回の話音倶楽部は特別企画、マンドリニスト望月豪さんのスペシャルリサイタルです。
望月さんを話音倶楽部にお迎えするのは今回で3回目ですが、ソロでの登場は初めてということで、みなさんとても楽しみにされていたと思います。
石橋敬三さんの『朝日ハノボル』でコンサートが幕を開けると、会場が楽しい雰囲気に包まれました。
一曲終わって、望月さんからご挨拶。
イタリア民謡で有名なマンドリンですが、もっと色々なことが出来るということを広く知って欲しくて、今回のプログラムを組まれたとのこと。
二曲目は田口和行さんの『a frozen doll』。
2012年、橋爪皓佐さんと初演作品を集めたコンサートを行った際に初演した曲で、望月さんのお気に入りだそうです。
タイトルのとおり、鋭い冷たさと可愛らしさが交わった素敵な曲でした。
次は、先ほどお話に出てきた橋爪さんの曲です。
この『Temporal Axis Ⅰ』という曲は、変わった奏法がたくさん盛り込まれていて、望月さんの表現力に見入ってしまいます。
こちらも2012年の演奏会でも演奏されたそうですが、当日楽譜を貰って、自分なりの解釈をして演奏する、そういう曲だそうです。
演奏後に楽譜も閲覧させていただくと、お客様も興味津々の様子です。
前半最後の曲は、吉仲淳さんの『murmur 恋する都市」です。
こちらはサウンドスケープコンポジションという、生活音と楽器の演奏を共生させる曲だそうです。
今回は作曲家の吉仲さん自らも機械を触って、演奏に参加してくださいました。
渋谷がテーマの“成就しない恋”の曲とのことです。
吉仲さんのイメージでは、渋谷はモダンではなくクラシカルな街ということで、曲調もややクラシカル。そこに現代の渋谷の雑踏、車の走る音、人の声など様々な音が合わさって、ロマンチックでノスタルジックな印象でした。
休憩を挟んで、後半最初の曲は近藤譲さんの『早春に』。
望月さん自身、難しい曲と思っていたそうですが、マンドリンであまり弾かれていないので、そろそろチャレンジしてみようと思ったとのことです。
ずっとあたためていた望月さんの思いが伝わってくるような、美しい音色でした。
次は再び田口和行さんの曲で、委嘱初演の『Ice Trick』です。
望月さんと田口さんとは先の『a frozen doll』の委嘱から交流を続けられていて、マンドリン協奏曲の『六花』という大作も経て、この曲で委嘱は4曲目になるそうです。
鹿児島にお住まいの田口さんとは、望月さんの演奏をyoutubeで共有するなど、やりとりを工夫されているとのことでした。
『Ice Trick』はボトルネックを指に嵌めたまま、別の指で弦をはじいたり、ハーモニクスをしたり、興味深い奏法が詰まった素敵な曲で、マンドリンでできる色々なことを、望月さんが熱心に田口さんへ伝えたのだろうと感じました。
次の曲レジス・カンポさんの『Caracole』は、5月にドイツで行われた撥弦楽器ユーロフェスティバルにアンサンブルテスタカルドが参加した時に、指揮者の鷹羽先生が見つけてきてくださった楽譜だそうです。
マンドリンで色々な音色が出せることを分かってもらうためにちょうど良い曲で、プログラムに入れたそうです。
あっと言う間に最後の曲になってしまいました。
委嘱初演『ブラックゴースト』です。
作曲家の川上統さんは、生き物をイメージした曲を多く書かれているそうで、ブラックゴーストも熱帯魚の名前だと、ご本人から説明がありました。
川上さんが描かれたブラックゴーストのイラストも配布されたので、聴きながら真っ黒い魚をイメージすることができました。
尾びれのひらひらした部分と、電気を持つという魚の特徴をトレモロで表現したとお話にあったとおり、痺れるような重音トレモロの連続でした。
大盛況の中終了した今回のコンサートは、マンドリンの多様な魅力を伝えたいという望月さんの心意気で溢れた、望月さんにしかできないプログラムでした。
望月さんが委嘱した作品は、40曲にものぼります。
委嘱しても再演を重ねないとマンドリンの曲として根付いてはいきません。だから、弾きたい曲があったらどんどん申し出てくださいとのことでした。
マンドリンの可能性を探究し続ける望月さんの思いが伝わって行くこと、そして望月さんのこれからのご活躍を期待します。 (本田 記)
●プログラム● -------------------------------------------------------------------------------------------
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望月 豪 (Goh Mochizuki)
●● プロフィール ●●●
1980年、カナダのトロントにて生まれ、4歳よりエレクトーンを始める。
慶應義塾マンドリンクラブ等でコンサートマスター、指揮者を経験し、現在はリベルテの代表・コンサートマスターを務める。
2009年、「第5回大阪国際マンドリンコンクール」にて、日本人として初の第1位( 第2位、第3位なし、単独入賞) 受賞の他、マンドリンのコンクールにて複数の入賞経験を持つ。「MUSICA MANDOLINO 合奏コンクール東京」ではリベルテを指揮し、第1位、最優秀指揮者賞も受賞している。
マンドリンを片岡道子、越智敬の各氏に師事。読譜を池谷淳子氏に師事。
これまでにリサイタルを東京、大阪、パリにて開催。20以上の演奏会にて協奏曲のソリストを務め、管弦楽での賛助出演等もしている。
多くの新作初演にも携わり、その数は現在予定されているものも含め50曲にのぼる。
CDはこれまで自身が指揮・独奏を務めたリベルテマンドリンアンサンブル「協奏曲集四季」、リベルテマンドリンオーケストラ「マ・メール・ロワ」、
独奏の「Tzigane 望月豪マンドリンリサイタル」等をリリースしている。
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話音倶楽部に2007年以来 3度目の登場となるマンドリニスト望月豪氏のスペシャルリサイタル。
現代作曲家の新しいマンドリン作品が多く披露されます。 ご期待ください!