第103回話音倶楽部
2024年11月13日(水)
2024年9月23日(月祝) 午後3時開演
【出 演】
間宮 匠(マンドリン)
榮 萌果(ピアノ)
今回、久しぶりの~話音倶楽部~開催です。
話音倶楽部~とは、お話をしながら~の演奏会。
当日は満席での演奏会となりました。
今回、間宮匠さんはドイツで行われる~桑原康雄コンクール~に出場されます。
コンクール 2024年10月18日(金)~20日(日)
▪ 18日 1次審査:・カラーチェの前奏曲から1曲 ・桑原康雄の無伴奏作品から1曲
▪ 19日 2次審査(20~25分) ・マンドリンオリジナルの現代音楽作品(フォルクローレを除く) ・1820年以前のマンドリンオリジナル作品
▪ 20日 ファイナル(25~35分以内) ・J.N.フンメル「マンドリン協奏曲ト長調」(課題曲、ピアノ伴奏版) ・フリープログラム
桑原康雄氏について、片岡道子先生よりお話がありました。
日本から渡独。日本的な和音がドイツの人たちに好まれ、評価されるようになり、
その作品はドイツから日本へ“逆輸入”されることになったとのこと。
今回行われる~桑原康雄コンクール~は、
桑原康雄氏の偉業をたたえ、未来に引き継がれていくコンクールであると思います。
今後も続いていってほしいと、筆者は願っています。
この日のプログラムは、コンクールで演奏される曲が演奏されました。
第1部
楽器製作者でもあり、作曲、楽譜等出版も手掛けた、R.カラーチェの『前奏曲 第10番』。
演奏前に間宮さんによる、テクニック~デュオ奏法、滑走アルペジオ等の説明は、今後弾いてみようと思うくらいわかりやすかったです。
レオーネ『アリアと変奏 第4番』
7番まであるうちの一曲。
1700年代にフランス等で貴族が弾いていたそうです。
この曲はイタリアのカラーチェの曲とは違うヨーロッパの空気を感じられたのでは?
フンメル『マンドリン協奏曲 ト長調』 ピアノ伴奏付き
先に演奏された、レオーネより前に作られた曲であること
3楽章まであり、演奏時間17分くらいとのこと
また今回ドイツでおこなわれるコンクールのファイナル課題曲であること
など間宮さんより説明がありました。
榮萌果先生のピアノ伴奏はとても安定感があり、曲中のピアノソロからマンドリン独奏へとの繋げ方はマンドリン奏者にとって曲の流れを受け取りやすく、とても勉強になります。
間宮さんから、榮萌果先生と一緒に演奏することになったきっかけをお話されました。
知り合いを通じて知り合い、今年6月に行われた~片岡門下生発表会~にて、初めて伴奏をしていただいたとのことでした。
ここでお客様がなにか気になっているみたい?と気づいた間宮さん。解説くださいました。
これまでは、楽譜=紙でしたが、最近はタブレットで譜面を見ることができるようになりました。
フットペダルでページをめくりますが、強く押しすぎると2枚めくれてしまうことがあるので、本番等の重要な場面では紙の譜面を使用する演奏者も多いとのことでした。
♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪ 休憩時間にはワインやお茶が出され、和やかな時間が流れました♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪
第2部
演奏に入る前に、間宮さんから、2部で演奏する曲のことや、楽器、海外におけるマンドリン事情について話がありました。
1部とは違い2部は激しい曲
使用楽器は、落合のマンドリンを使用している事、楽器の塗装に関して
マンドリンはイタリア生まれ
ドイツでもマンドリンが盛んで音楽大学にもマンドリン科がある
ドイツにはドイツマンドリンもある
ドイツでは、マンドリンの落ち着いた~ポコポコ~した音を好むので、絃はトマスティークとハナバッハを使用している
筆者自身もドイツで行われたマンドリンセミナーに参加した折、ドイツ製のオプティマ絃を求めましたが、そのセミナーで販売されていたのはトマスティークでした。
それにも理由があり、日本ではコンサートホールやサロン等どちらかといえば木材を使用したところで演奏することが多いが、ドイツでは石材で建てられた教会等で演奏することが多い。石材で建てられたところで演奏する時にオプティマ絃を使用すると音がキンキンする。巻絃に特徴があるトマスティークはそういったことが起きにくい、と聞きました。
また、ピックも日本でよく使用されているプラスティック製に厚みの薄いピックとは違い、厚さのあるピックを使用されていました。
桑原康雄『即興詩』
『即興詩』の演奏前に~じょんがら~を少し演奏。
メロディに存在感のある曲が特徴であること。
今回『即興詩』を演奏するにあたっては、ピックが削れやすいこと。奏者がそれぞれに整えたピックを使用すること。それによって音色も変わる等の説明がありました。
ルーストン『ハンジャレ』
この曲に関して間宮さんより解説がありました。
アラビア語で「闊歩」を意味する「ハンジャレ」は、口語の「アワル・アル・ラクス・ハンジャレ」(ダンスは闊歩から始まる)に由来しています。
このことわざは、大きな行動は小さな動きや身振りから始まると解釈できます。
文脈によっては、このアラビア語のことわざは、単純な始まりから良い結果と悪い結果の両方がもたらされることを暗示しています。
この作品は、17拍子の華やかなリズム サイクルをリズム構造のフレームワークとして、4 音のモチーフをメロディとハーモニー構造の基礎として使用しています。
この作品はシリアの壊滅的で悲劇的な内戦を反映した一連の作品の一部です。
曲中、楽器のボディを叩く、足ふみ等の表現もあり、聴衆側にとっても楽しい一曲となりました。
石橋敬三『Deep Obsession』
マンドリンにおける特殊奏法をほぼすべて使用した曲で、
奏法を学びながら演奏するには、とても良い曲と感じました。
スルタスト~柔らかい、スルポンテ~金属音、ハーモニクス、スクラッチ他、表現方法もたくさんあり、勉強になりました。
アンコールは『朧月夜』
今回のプログラムがあまり知られていない曲が多かったので、選曲されたそうです。
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●プログラム● -----------------------------------------------------------------
第Ⅰ部
前奏曲 第10番 ・・・R. カラーチェ
アリアと変奏 第4番 ・・・G. レオーネ
マンドリン協奏曲 ト長調 ・・・J. N. フンメル
第Ⅱ部
即興詩 ・・・桑原康雄
ハンジャレ ・・・K. ルーストン
Deep Obsession ・・・石橋敬三
アンコール
朧月夜 ・・・岡野貞一作曲/壺井一歩編曲
●プロフィール● ---------------------------------------------------------------------------------------------
間宮 匠 (Takumi Mamiya) ・・・ 間宮匠オフィシャルサイト
1993年、東京都杉並区生まれ。
第10回ARTE国際マンドリンコンクール独奏部門第1位
第25回日本マンドリン独奏コンクール第1位
第18回大阪国際音楽コンクール民俗楽器部門第3位
日本各地でのリサイタルの開催や、マンドリンが含まれる現代作品の紹介・日本初演にも積極的に取り組んでおり、2022年に開催したリサイタル「マンドリンの今、2つの現代」は東京都歴史文化財団アーツカウンシル東京の助成事業として採択される。2018年にはアメリカクラシックマンドリン協会主催の2018 CMSA Convention in SantaRosaにゲストアーティストとして招待され、国際的にも活動の場を広げている。
マンドリントリオ「BallonKatze」メンバー。
マンドリンを青山忠、片岡道子、柴田高明、望月豪の各氏に師事、和声法を壺井一歩氏に師事。
榮 萌果 (Moeka Sakae)
神奈川県立弥栄東高校音楽コース(現相模原弥栄高校音楽科)を経て
東京音楽大学ピアノ科卒業。同大学大学院伴奏科修了。
在学中はプラハで行われたセミナーにてディプロマを取得。
教授の推薦によりファイナルコンサート出演。
修了後は同大学及び大学院に於いてピアノ伴奏助手を務める他、
リサイタルに於ける伴奏や山田邦子氏率いる「スター混声合唱団」のピアニストを務める等、多方面で活動。
NHK-FM「FMリサイタル」出演。(SAX奏者 田村哲氏と共演)
現在はアンサンブルや合唱伴奏を中心に演奏活動を行う他、
神奈川県立相模原弥栄高校音楽科に於いて非常勤講師として後進の指導にも当たっている。
東日本大震災の復興支援として立ち上げた「音無美紀子の歌声喫茶」専属ピアニスト。
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第103回話音倶楽部では、間宮匠さんのマンドリン演奏をお楽しみください。
共演はピアノの榮萌果さんです。