第92回話音倶楽部

2019年9月6日(金)


2019年9月6日(金) 午後7時開演 
 
【出 演】
藤元高輝(ギター) 

本日のゲスト、ギタリストの藤元高輝さんが初めてこの話音倶楽部で演奏してくださったのは、藤元さんがまだ10代の頃でした。
当時、国際コンクールで初めて優勝したばかりで、その圧倒的な技術と、
まだ10代とは思えないような落ち着きのある佇まいがとても印象的でした。

その後の活躍は皆さんの知るところですが、今でも当時と変わらぬ気さくさで私たちに演奏を披露してくださり、本当に嬉しいかぎりです。

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今回はオペラシティでの演奏会「B to C」を控えていたこともあり、それを踏まえたプログラムでした。
本来なら大ホールで遠くから眺めなければならない演奏、それが目と鼻の先で楽しめる贅沢は話音倶楽部ならではです。
小さな小さな演奏会ですが、演奏内容はとても野心的なものでした。

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バッハの「無伴奏ヴァイオリンの為のソナタ第3番」と、フェルドナンド・ソルの「グランド・ソナタ第2番」を前半と後半の柱に据え、
所々に聞き馴染みのある小品をはさんだ大変贅沢な構成で、
藤元さん曰く「あれもいいな、これもいいなとプログラムを考えているうちにこうなっちゃいました(笑)」とのこと。

特にソルの大曲は大変な難曲で、あまり演奏されることのない曲として知られています。
ソル自身がチャレンジを込めて作曲しているため、変則的に色々な要素が盛り込まれており、
演奏する側もそれを聴く側も集中力が要求されます。まるでベートーヴェンの交響曲をギター1本で演奏しているかのような
聴き応えのある曲でしたが、藤元さんの鋭いリズム感で演奏されるそれは、スポーツのような爽快感もあり、
演奏が終わる頃には藤元さんもお客さんもお互いに額に汗を浮かべているような状態でした。
超一流の演奏家の集中力を一緒に体験することができた貴重な時間でした。

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そしてアンコールは自作の「美と弧」。2017年にギタリスト小暮浩史さんの日本ツアーのために書いたそうですが、
当時、すでに「B to C」が決まっていましたが正式発表するまでは口にしてはいけなかったため、
「B to C」のゴロを合わせて「美と弧」というタイトルにしたそうです。
藤元さんの曲や活動にはいつも、こんな感じのユーモアが隠れているんですよね。

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2016年に藤元さんは、私も所属しているテスタ カルド(マンドリンアンサンブル)のために「モントシュパーゲル」という曲を
書いてくださったのですが、この「美と弧」は例えるなら「もしモントシュパーゲルを藤元さんがギター1本で演奏したら」
といった内容でした。個人的には今日の中で一番驚いた演奏で、「あのフレーズはこんな意味があったのか」「こう演奏したら
こんなにカッコいいんだ」という気づきがたくさんあり、もう一度、藤元さんの曲にチャレンジしたい気持ちで一杯になりました。
 
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ここで藤元さんの演奏以外の個人的なお話をひとつ。
今年は公私ともに色々あった藤元さん。先日、フランス旅行中にお財布を盗まれたそうです。
幸いパスポートは無事でしたが滞在許可証をとられてしまったそうで、すぐに地元の警察に被害届を出したとのこと。
その警察がたいそういい加減だったらしく、提出された控えをよく見ると藤元さんの国籍欄が「フランス」になっていたそうです。
この被害届はれっきとした公的書類なので、国籍を証明する効果があります。ということは、期せずしてフランス国籍を
手に入れたということで「何かあったらフランスに亡命できるようになったので嬉しい(笑)」と喜びの藤元さん。
無事で何よりでしたね!フランス人になってもまた話音倶楽部での演奏、スタッフ一同お待ちしております!     (石田政章 記)
 
 

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●プログラム● -----------------------------------------------------------------
 
 魔笛の主題による変奏曲
 ソナタ 第2番
 幻想曲 第7番 op30   ・・・フェルナンド・ソル
 
 ドビュッシー賛   ・・・ファリャ
 
 ソナタ 第3番    ・・・J.S.バッハ

 ロシータ
 アラビア風奇想曲
 ラグリマ      ・・・タレガ       ほか

●プロフィール● --------------------------------------------------------------------------------------------- 
 
 
藤元 高輝  Koki Fujimoto   ギター
 
1992年東京都北区生まれ。
3歳より父からギターの手ほどきを受ける。
これまでに村治昇、新井伴典、荘村清志、江間常夫の各氏に師事。
同時に国内外のギタリストのマスタークラスを多数受講。
作曲を塩崎美幸、植田彰、伊左治直の各氏に師事。指揮を本多優之氏に師事。
2007年フォンテックよりCD「バルトーク/ルーマニア民族舞曲」を発表。
2008年ドイツ3都市(ボン、ケルン、デュッセルドルフ)にてソロコンサートを行う。
2014年作曲家今村俊博とのパフォーマンスデュオ「s.b.r.」結成。
趣味は囲碁。
 
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■コンクール受賞歴 
 2008年 ヴァイカースハイム国際ギターフェスティバル(ドイツ)コンクール部門 第1位
 2010年 アジア国際ギターフェスティバル(タイ)コンクール部門 第1位
 2011年 東京国際ギターコンクール 第1位
 2012年 日本ギター重奏コンクール優勝(小暮浩史とのデュオ「こーき&ひろし」として)
 2018年 コブレンツ国際ギターコンクール(ドイツ)首席2位
 2019年 ハインスベルク国際ギターコンクール(ドイツ)第1位

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今をときめくギターの藤元高輝さん、話音倶楽部4回目の登場です!