片岡マンドリン研究所
話音倶楽部
2012年12月23日  第64回話音倶楽部

午後4時開演 

出 演: 片岡 道子(マンドリン)
     松下やよい(マンドリン)
     本田 純子(マンドリン)
     岡村 綾子(ギター)
     小林 夏子(ピアノ)


今回の話音倶楽部は実行委員会メンバーによるコンサートです。
研究所のドアを開けると華やかなドレスに身を包んだ出演者のお出迎えでした。この距離感の近さにちょっとびっくりした後、受付を済ませ会場へ。開演10分前でしたが、すでに満員で立ち見がでるほどの大盛況ぶり。そんな熱気の中、いよいよ開演です。

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最初の二重奏は本田さんと松下さんです。
今年ドイツに行った際に入手したというヴェルキのソナチネは≪ヴェルキの二重奏曲は3曲あり、今日演奏されたのは2番(Allegro Moderato, Andannte, Allegretto)です≫、華やかで、軽快で、コンサートの幕開けに相応しい曲でした。。
(本田さんはドイツで行われた、オットワイラー・ギター&マンドリンセミナー2012 に、ツアーコンダクターとして参加されています)

続いては松下さんと片岡先生のニ重奏です。
作曲者のポンチンはベルギー人で、マンドリンを習いにドイツへ。そこでヴェルキ作曲コンクールにて受賞した経歴があるとのことです。
曲は7つからなり、1日の出来事を描いています。それぞれの副題は、
    1. 目覚め
    2. 連れだって
    3. 踊る人
    4. 幻想
    5. 気まぐれ
    6. 対話
    7. 安らぎ(静寂)
聴いているとイメージが広がり、どこか物寂しい情景がすぅーと浮かんできました。

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次は小林さんが加わり2台のマンドリンとピアノの三重奏です。
演奏するのはルイエのトリオソナタ ヘ長調 作品2 第2番(Largo, Allegro, Largo, Allegro)。
作曲者のルイエは、弟もいとこも音楽家ということが災いして作品がよく混同され、一時は存在価値がないと言われたこともあったそうです。
原曲はリコーダー、オーボエ、通奏低音。
これまでに聴いた二重奏はピッキングが主でしたが、 この曲は悲しげなメロディーのトレモロで、しっとりした雰囲気が会場を包みます。

Ⅰ部最後の曲はいま映画化されて話題の、ミュージカル「レ・ミゼラブル」。
片岡先生が15年ほど前、NYブロードウェイで観た時に譜面も購入し、どこかで弾きたいと思っていたそうです。編曲はアンドウマユコさん。
数曲ある中から今回は2曲演奏されました。(残りの曲もこれから作り上げていく予定とのことで、とても楽しみです)
1曲目はI Dreamed a Dream。
静かなピアノの前奏から優しいマンドリンへ。トレモロが決してうるさく聴こえず、まるで目の前で歌っているようでした。
2曲目はDo You Hear the Peaple Sing?
マンドリンのボディを叩きリズムを刻むと 心臓の鼓動や足音の様に聴こえ、 これから戦いに行くぞー!という気分になりました。


そんな高揚感を抱きながら休憩へ。ワインを飲んで心を鎮めます。

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Ⅱ部は本田さんと岡村さんによるマンドリンとギターの二重奏で幕開けです。
ハローシェクの古風な組曲全6楽章のうち3〜6楽章を演奏します。
    3. Sarabande
    4. Gavotte
    5. Air
    6. Gigue)
厳粛で落ち着いた冒頭にそれまで賑やかだった空気が一変。 お二人の息の合った演奏に会場がくぎ付けになります。

続いての曲はパガニーニのカンタービレ。
この曲は2009年の研究所発表会で弾いた以来3年ぶりの演奏とのこと。マンドリンが大きく羽ばたいていくのをギターが一緒に寄り添う雰囲気がして、雄大で広がりのある曲でした。

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次は片岡先生、松下さんが加わり四重奏です。
イタリア民謡よりも軽いフォークソングの曲集で7曲を演奏。
    1. Finestra bassa
    2. La Vesta nova-Scherzo capriccioso
    3. Il bimbo mio
    4. Voca Voca
    5. Tarantella: I macheroni
    6. Salta
    7. Tiritomba
親しみやすいメロディーから子供が口ずさみながら歩くところを想像しました。

演奏終了後ここで片岡先生からピックにまつわる話が聞けました。
既に使われている方もいるかと思いますが白色と青色のピック、材質はラバーでできています。(白の方が固く、青は柔らかいです)
ドイツでよく使われていて、弾くと分りますがこもった音がします。このこもった音の背景は、リュート(ギター)に近い音をドイツでは求めており、イタリアのカラッとした、金属的な音とはだいぶ違います。また、ドイツは石で造られている建物が多く、余韻が長くなるため金属的な音だとうるさく感じてしまうことも影響しているそうです。土地柄でこうも音がかわってくるなんて、とても興味深かったです。

このことを聞いて演奏者のピックに目線を向けたところで、
プログラム最後の曲はバルベッラのトリオ ト長調(Allegro, Largo, Allegro)です。
四重奏の音の厚みを十分に感じることができ、迫力満点。
そのままの勢いでアンコールは小林さんが加わり、出演者全員によるクリスマスソングメドレーで大団円でした。

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全体を通してマンドリンで色々な表現ができるのだなーと改めて再認識したコンサートでした。
また別の魅力として、こんなにも間近に演奏者を見ながら聴ける機会はそうそうありません。
少しでも興味が湧いた方がいらっしゃいましたら、年が明けて真新しい手帳のスケジュール表に「話音倶楽部」と書き加えてみてはいかがでしょうか?
出演者の皆さん、ありがとうございました。      (中村忠夫 記)
                               レポートありがとうございました


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                 〜〜  出演者から  〜〜

■片岡道子
2012年の話音倶楽部も無事終了しました。
1998年12月からスタートし今年で14年間、64回目になりました。
たくさんの素晴らしい音楽家にご出演いただき、たくさんのお客様にお越しいただき、毎回楽しい お話しと音楽をお届けしてきた話音倶楽部です。
ここまでこれましたのも、たくさんの方々のご支援のおかげです。
演奏者、お客様、スタッフ、家族、の協力なくしては続かなかったと思います。
スタッフ一同心より御礼申し上げますとともに、感謝の気持ちでいっぱいです。
ありがとうございました。
今後も素敵な音楽とお話しを発信して参りますのでどうぞよろしくお願い申し上げます。

■松下やよい
2012年最後の話音倶楽部が無事終了いたしました。今回もお寒い中たくさんのお客様にお越しいただき、温かい雰囲気の中でとても気持ちよく楽しく演奏することが出来ました。応援して下さったお客様、お手伝いのスタッフ、一緒に演奏してくれた仲間たち、先生、そしてそれぞれの家族のみなさんのお陰と、感謝の気持ちで一杯です。有り難うございました。
また、今年一年を通して話音倶楽部を支えてくださった皆様、お世話になりました。来年も素敵な企画とともに皆様のお越しをお待ちいたしております。これからも話音倶楽部を宜しくお願いいたします。

■本田純子
今年も1年間、無事に終わることができました。
片岡先生・松下さん・夏子さんと一緒に演奏する話音倶楽部は、毎年とても楽しみです。自分たちで探した楽譜をこつこつ練習して発表するという貴重な機会に恵まれて、大変感謝しております。
来年もスタッフ一同で話音倶楽部を盛り上げ、また自分の演奏にももっと磨きをかけたいと思います。お忙しい中、そして寒い中、お越しいただいたお客様、お手伝いの皆様、ありがとうございました。

■岡村綾子
年末のお忙しい中、話音倶楽部に足を運んでくださり、ありがとうございました。
今回もたくさんのお客さまとスタッフ、そして片岡先生、松下さん、本田さんに支えられ、終始温かい雰囲気の中で楽しく演奏することができました。御礼申し上げます。
これからも精進して参りますので、どうぞよろしくお願いいたします。

■小林夏子
結婚し、子供が生まれ、仕事をしながらも素敵な仲間と協力者に恵まれピアノを続けられることが幸せです。
話音倶楽部の仲間に感謝しています。これからもどうぞよろしくお願いいたします。

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第64回話音倶楽部チラシ

 今年も実行委員会メンバーによる話音倶楽部の季節がやってきます。
 1年の最後に、音楽とワインと楽しいおしゃべりの時間をお楽しみください。