片岡マンドリン研究所
話音倶楽部
2011年07月08日  第60回話音倶楽部

午後7時開演

出 演: 児嶋絢子 (マンドリン)
     槐 智明 (ギター)
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今回の話音倶楽部は、ドイツ・ハンブルクに留学中のマンドリニスト児嶋絢子さんと、留学を終えて帰国されているギタリスト槐智明さんのお二人をお迎えしました。

アルトホッフの「Ballträume」でコンサートがスタートしました。とても聴きやすい二重奏です。
曲が終わると、お二人の出会いについて、お話ししてくださいました。
児嶋さんはハンブルク音楽院に留学中(今回は一時帰国)で、ハンブルク音楽大学でも勉強されています。槐さんはハンブルク音楽大学に留学されて、今年マスターを卒業されました。
お二人の出会いは、ハンブルク音楽大学のクラスの発表会で、槐さんが帰国する直前のことだったそうです。

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2曲目、3曲目は、マチャドのブラジル民謡集から、
「Pacoca」(ショーロ)と「Pé de moleque」(サンバ・ショーロ)です。タイトルはお菓子の名前なんだとか。とても可愛らしく軽快な演奏で、会場全体が楽しい雰囲気に包まれました。

次はお二人それぞれのソロ演奏です。
まずは児嶋さんのソロで、ムニエルの「Love Song」。トレモロの多い、ロマンティックな一曲です。
ドイツのピックを使用した演奏に、新鮮な印象を受けました。
次に槐さんのソロ「Over the Rainbow」(武満徹編曲)。しっとりとした演奏に、思わず聴き惚れました。

1部最後の曲は、ムニエルの「Bizzarria」。マンドリンではおなじみのロマンティックな曲です。
児嶋さんが昨年参加されたマンドリン独奏コンクールの課題曲でもありますが、いつもはピアノ伴奏なので、ギター伴奏で演奏するのは今回が初めてだそうです。でも同じハンブルクで勉強されていたお二人、初めてとは思えないほど息の合った演奏でした。

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ワインサービスをはさんで、第2部は質問コーナーから始まりました。

◆「どうして、いつから、ドイツに留学しようと思ったのですか?」
児嶋さん
 「大学卒業後、シュテフェン・トレッケル氏に教わりたくて、探したらハンブルク音楽院でした。」
槐さん
 「洗足音楽大学のギター科を卒業後、ハンブルク音大に留学しました。」

◆「ドイツのピックは日本で使っているべっ甲のものと違うのですか?」
児嶋さん
 「固さが違うナイロンのピックを3種類使い分けています。自分でやすりをかけるのが大変です。」

◆「どうしてドレッケル氏に教わりたかったのですか?」
児嶋さん
 「ドイツのマンドリンのポコポコした音色がもともと好きでした。」

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質問が落ち着いたところで、いよいよ演奏再開です。
2部1曲目はアルトホッフの「Märchen」。1部の1曲目に演奏された曲と同じ作曲者です。
さほど難しくなく、聴きやすい曲が多いと児嶋さんのおっしゃるとおり、この曲もとても可愛らしく耳になじむ一曲でした。

次に、再び一曲ずつソロを演奏されます。
最初はマンドリン独奏で、パパレッロの「Delizie D’amor」。トレモロの多い曲ですが、とても軽やかな演奏で、「愛の喜び」のタイトルどおり楽しい雰囲気が伝わってきます。
ギター独奏は「Yesterday」(武満徹編曲)です。ハンブルクはビートルズがヒットするきっかけとなった重要な場所であること、また「Yesterday」は槐さんがギターを始めたときに憧れた曲だということで、思いを馳せながら演奏してくださいました。

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あっという間に本日最後の曲です。
レオーネの「Sonata A-Dur Nr.2」は、ドイツでは非常によく演奏されるそうです。元譜の低音はバスが書かれているだけで、それをギターやピアノに編曲して演奏するのだそうです。トレモロのない時代の曲で、ドイツのピックの独特の音色とよく合っているように感じました。お二人の息もぴったりで、最後まで心のこもった演奏を聴かせてくださいました。
アンコールには「ブラックレイン」を演奏してくださって、大盛況の中コンサートは終了しました。

初めから終わりまで笑顔を絶やさず、お顔を見合わせながら楽しそうに演奏してくださった児嶋さん、槐さん、ありがとうございました。
涼しいドイツから帰られて、猛暑の日本での演奏は大変だったことと思います。楽しい時間を提供してくださった若いお二人に感謝するとともに、今後のご活躍を期待しています。   (本田 記)

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●プログラム● -----------------------------------------------------------------

第Ⅰ部
 Ballträume  ・・・Willi Althoff(1906-1971)

 Pacoca(choro)   ・・・Celso Machado(1953-)
 Pé de moleque(samba choro)  ・・・Celso Machado(1953-)
 
 Love Song  ・・・Carlo Munier(1859-1911)

 Over the Rainbow  Arr, Toru Takemitsu  ・・・Harold Arlen(1905-1986)
 
 Bizzarria  ・・・Carlo Munier(1859-1911)

第Ⅱ部
 Märchen  ・・・Willi Althoff(1906-1971)

 Delizie D’amor   ・・・Luigi Paparello(1885-1975)

 Yesterday  Arr, Toru Takemitsu  ・・・John Lennon & Paul McCartney

 Sonata A-Dur Nr.2  ・・・Gabriele Leone(1725-1790)
  -con bizarria
  -Languidam
  -Finale con chiapo

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    第60回話音倶楽部 児嶋絢子     第60回話音倶楽部 槐智明
           児嶋 絢子                     槐 智明 
           (マンドリン)                     (ギター)

●プロフィール● -----------------------------------------------------------------

児嶋絢子 (こじま あやこ) マンドリン
トキワ松学園マンドリン・ギター部にてマンドリンを始める。高校在学中にコンサートミストレスを勤める。フェリス女学院大学入学、同時に、東京マンドリン宮田楽団に所属する一方、慶応義塾大学マンドリンクラブに入部。4年次に2ndトップを勤める。
大学卒業後、2006年よりドイツのハンブルク音楽院に留学。Steffen Trekelに師事。2008年より、バイオリニスト、ユディ・メニューインによる奨学制度、Live Music Nowの奨学生としてドイツ各地にて演奏活動中。
2010年、第22回日本マンドリン独奏コンクール次位入賞。
現在、ベルリン州立音楽学校にて講師を勤める。
これまでにSteffen Trekel、越智敬、桝川千明の各氏に師事。

槐 智明 (さいかち ともあき) ギター
ギターを大島康雄、原善伸、Nashir Nangialai、Klaus Hempel、Olaf van Gonnissen各氏に師事。
2006年洗足学園音楽大学クラシックギター科卒業後ドイツに渡り、リューデン シャイト音楽学校にて学ぶ。多くの音楽祭に招待されドイツ、フランスでコンサートを行うと共にノルダーシュテット市立音楽学校等にて特別講師としての経験も積む。
2011年ドイツ国立ハンブルク音楽演劇大学大学院クラシックギター科首席卒業。

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第60回話音倶楽部チラシ

現在ハンブルク音楽院に留学中のマンドリンの児嶋絢子氏と、
今年ハンブルク音楽大学のマスターを卒業されたギターの槐智明氏。
ともにドイツで学ぶ若きマンドリニストとギタリストのデュオをお楽しみに!