片岡マンドリン研究所
話音倶楽部
2011年06月18日  第59回話音倶楽部

午後4時開演 

出 演: 唐華〈タンファ〉 (中国琵琶)
                        59回話音倶楽部-1

話音倶楽部第59回のゲストは、中国琵琶奏者の唐華(タンファ)さんをお招きしました。

四川省成都市ご出身のタンファさんは、日本に十数年お住まいだったとのこと。最初から最後まで流暢な日本語でお話くださいました。
最初のご挨拶で、今年3月の東北地方太平洋沖地震のことに触れられています。
「3年前に四川省でも大地震があり、ここにいる皆様と同じような不安な思いを経験しています。
今日の私の演奏が、少しでも皆様の力になれますように。」
温かいお言葉が心に響きます。

   59回話音倶楽部-2     59回話音倶楽部-3

『虚籟(きょらい)』で演奏が始まります。静かに音色が奏でられると、会場はゆっくりと中華な空気に包まれていきました。ぼんやりと暗く静かな中に生気が脈打つような曲。優雅な音を奏でる右腕の動き、対照的に激しく動く指先にも目が惹きつけられます。目が釘付けになっていると、「中国琵琶って素晴らしいでしょう?」と問いかけるようににっこり微笑むタンファさんが素敵です。
続いて、中国琵琶の演奏会では、必ずプログラムに入っているほど有名な激しい曲『彝(イ)族舞曲』、お坊さんたちの瞑想を思わせる『プアンのマンドラ』、新疆ウイグル自治区のお祭りの曲『天山の春』が演奏され、会場はすっかり中国琵琶の世界に染まっていました。

 59回話音倶楽部-6 59回話音倶楽部-7 59回話音倶楽部-8

ここで、楽器についてのご説明がありました。
何でも質問してくださ〜い、とのこと。タンファさんとおしゃべりを楽しむように、いろいろ聞いてしまいました。

中国琵琶は、PIPA(ピパ)と呼ばれているのだそうです。その由来は「PI」がダウンストローク、「PA」はアップストロークのこと。PIPAPIPA・・・を繰り返して演奏するので、【PIPA】という名前になったのだとおっしゃっていました。
日本で琵琶といえば、「祇園精舎の鐘の声〜」に代表されるような、歌の伴奏としての位置づけにいますが、中国琵琶はソロ楽器として進化したものなのだそうです。
中国琵琶はバチを使わず、付け爪をした5本の指すべてを使って演奏します。弾き方は、ギターに似ているような、でもそれだけではないような。実にさまざまな奏法を駆使しているように見受けられました。
また、古い絵画で琵琶を横向きに構えている姿を見かけますが、実際は楽器を立てていないと手が届かず演奏できないのだそうです。「あれは(写実ではなく)芸術品ですから・・・」とのことでした。

基本の調弦は、ADEA(ラレミラ)。曲によって変則調弦をすることもあるそうです。張ってある弦は、1弦がスチール、2〜4弦はシルバーの巻弦。シルバーの弦は高価なのですが、一番雑音が出なくて良いとのこと。フレットは、ネック側の白い部分が象牙製で、ボディ部分は竹製。竹部分は1〜2年ごとに交換するそうです。サウンドホールは、ブリッジの奥に小さく開いていました。
音域は4オクターブ半と広いので、どんな音楽でも演奏することができるのだそうです。すごい!
この日使っていた楽器は、オンリーワンだそう。ずっしりとしたマホガニー製のボディの裏には、松と竹と天女の素敵な絵が描かれていました。美しい天女はタンファさんのお姿でしょうか。

楽譜は、現在は五線譜と数字譜を使っているのだそうです。昔は漢字譜も使用していたのだとか。
タンファさんが使っている基礎練習用の楽譜を見せてくださり、そのうちの1ページを弾いてくださいました。基礎練習用の楽譜の表紙には、中国語で「毎日やること!」と書かれていたので、研究所門下生たちは大笑い。私たちも毎日基礎練習しましょう!

 59回話音倶楽部-4 59回話音倶楽部-5 

中国琵琶の歴史、楽器についてのお話を聞いて、理解が深まったところで2部がスタート。
1曲目は『陳隋(ちんずい)』古い旋律の曲。女性の細やかな情感が表現されている、タンファさんお気に入りの曲だそうです。昔はあまり弾かなかったけれど、最近になって古曲の良さがわかってきたとおっしゃっていました。
続いて、3月の雨が降る江南地方の様子を表した『春雨(はるさめ)』、百楽天の言い伝えにインスピレーションを得た大曲『訴(そう)』の力強い演奏。
アンコールには日本の歌を、と『赤とんぼ』を優しく奏でてくださいました。

   59回話音倶楽部-9     59回話音倶楽部-10

撥弦楽器の可能性に気付き、中国琵琶の音色とタンファさんの温かいお人柄に魅了された、
素晴らしいコンサートとなりました。
話音倶楽部への再度のご出演を、スタッフ一同お待ちしております。  (岡村 記)

         59回話音倶楽部-11

●プログラム● -----------------------------------------------------------------

第Ⅰ部
 虚籟(きょらい)
 彝(イ)族舞曲
 プアンのマンドラ
 天山の春

第Ⅱ部
 陳隋(ちんずい)
 春雨(はるさめ)
 訴(そう)

アンコール
 赤とんぼ

------------------------------------------------------------------------------

       第59回話音倶楽部 唐華〈タンファ〉
           唐華〈タンファ〉 (中国琵琶)
              Tang Hua (Pipa)

●プロフィール● -----------------------------------------------------------------
中国四川省成都市に生まれ、音楽家両親の元、幼児期より音楽に親しむ。
四川音楽学院大学付属高中を経て、同音楽民族音楽部卒業。琵琶を専攻。
1986年、国立中央歌舞団に入団し、ソリストとして活躍。
1991年に活動の場を日本に移し、以来多くのリサイタルや音楽祭参加のほか、和楽/洋楽との共演等、日本全国で幅広く演奏活動を続けている。
また1995年には北米に演奏旅行、1998年香港で香港愛楽楽団と共演。1999年台北市政府の招きにより台北国家音楽ホールでリサイタル。2002年唯是震一作曲、中国琵琶のための協奏曲「桃源」を東京にて初演。2004年にはドイツ3都市にてリサイタルを開催、いずれも好評を博す。
現在は日本と中国を行き来しつつ演奏活動を続けている。

------------------------------------------------------------------------------

第59回話音倶楽部チラシ

日本と中国を行き来しつつ演奏活動をなさっている唐華〈タンファ〉さんがご出演くださいます。
春の話音倶楽部では、中国琵琶の魅力を皆さまにお届けします〜〜