片岡マンドリン研究所
話音倶楽部
2007年02月03日  第40回話音倶楽部

午後2時開演

出 演: 根岸弥生(ピアノ)

話音倶楽部コンサート第40回の今回は、若手ピアニストの根岸弥生さんをお迎えしました。

第40回話音倶楽部6    第40回話音倶楽部5

根岸さんは午前中から研究所にいらっしゃり、今日のパートナーとなる研究所のグランドピアノと対話して、時間をかけて入念なリハーサルをなさっていました。 

        第40回話音倶楽部4

話音倶楽部コンサートは演奏者とお客様の距離が近いことが(近すぎる程近い)特徴ですが、そういう距離感や、コンサートの雰囲気を考慮した根岸さんからのご要望で、今回は事前にお客様へプログラムは配らないサプライズコンサート!となりました。


14時開演、根岸さんは颯爽と白いパンツスーツで登場、ヘンデルの「オンブラマイフ」の演奏で幕を開けました。6年間滞在したウィーンから帰国する時に、ウィーンでの音楽仲間が開いてくれた送別会で声楽家の友人が歌ってくれた曲とのこと。

こうやって1曲1曲、根岸さんご自身で、(演奏する)その曲を選んだ理由やその曲への思いを語り演奏する、という形でコンサートが進みました。

  第40回話音倶楽部1

留学3週間目のウィーンの高校の授業で見た映画『もののけ姫』から<アシタカとサン>。

モーツァルトの『キラキラ星変奏曲』は小学校2年生の頃のピアノのレッスンの時に弾いたら、先生に「今日は弥生ちゃんの音ではないからレッスンはしない」と言われた曲。
なんといっても小学生だったので、自分の音がどういうものか、その時はわからなかったそうです。

大ヒットした韓国ドラマ『冬のソナタ』から<My Memoly>は、亡くなった大切な友人への音楽のプレゼント。

1部最後の曲はベートーヴェンのピアノソナタ第8番『悲愴』。中学生の時にイヨルク・デームス氏のレッスンを受けて、音楽を構築する楽しさを学び、ピアニストを目指すきっかけとなった曲だそうです。


  第40回話音倶楽部3

2部はショパンの『ノクターン』<遺作>で始まりました。映画『戦場のピアニスト』で使われた曲。この曲が流れていた頃はウィーンの高校生で、学校で行ったポーランドで戦争博物館に寄り非常に感銘を受けたそうです。

2曲目はまた韓国ドラマ『冬のソナタ』から<最初から今まで>。韓国に行ったときに、韓国の音楽仲間から「弥生ちゃんにこの曲が合うのでは」と勧められて弾いた曲とのことで、その時はドラマがこんな大ヒットになるとは思わなかったそうです。

ココでちょっと質問コーナー。根岸さんの衣装のことが話題になりました。根岸さんは本番ではいつもパンツスーツなのだそうです。それは、作曲家は男性がほとんどで、その男性がかいた曲を演奏するのだから、自分はその作曲家に男性になって演奏するので、衣装もドレスではなくパンツスーツで、と決めていらっしゃるのだそうです。

続いては、根岸さん5歳の時の発表会で弾いた曲、ブルグミューラーの『アラベスク』『アヴェ・マリア』『貴婦人の乗馬』の3曲。私もピアノを習っていた子供の頃を思い出し、聴いていてとっても楽しくなりました。

根岸さんは亡くなった恩師ラザール・ベルマン氏の代理で、ローマ法王ベネディクトの式典でピアノを演奏したそうです。その時に、教会のステンドガラス越しの光にかざした赤ワインの入ったグラスを見せられて、これで何を感じるか?と問われ、感じたままを演奏するようにと注文されたそうです。
きらめくグラスを見てひらめいたのが『希望』という言葉、そして演奏したのが千住明の『GROLIA<希望の光>』。

ショパンの『スケルツォ 第2番』はウィーンから帰国したら最初のコンサートで弾きたいと思っていた曲。

久石譲作品の中でいちばん好きな曲<la pioggia>は、イタリア語で「雨」の意だそうです。

そして終曲はリスト『巡礼の年 第1年(スイス)より<ウィリアム・テルの礼拝堂>』 鐘の音をイメージした曲。この曲で鬼を追っ払おう!(笑!!)と根岸さん。 そう今日は節分の日でした。

  第40回話音倶楽部2

力強く、リズミカルで、軽やかで、主張のはっきりした音楽。エネルギッシュな演奏に若さとパワーを感じたコンサートでした。

最後はお客様の熱烈な拍手に応えてアンコール
  ドビュッシーのピアノのためにから『プレリュード』
  ショパンの『幻想即興曲』   の2曲演奏してくださり、幕を閉じました。  (都筑 記)


この第40回話音倶楽部の様子は、根岸弥生さんご自身のブログも、あわせてご覧ください。


●プログラム●-------------------------------------------------------------------

第Ⅰ部
・オペラ『セルセ』より <オンブラマイフ> :G.ヘンデル/根岸弥生(編曲)
・映画『もののけ姫』より <アシタカとサン> :久石譲/根岸弥生(編曲)
・《ああ、お母さん、あなたに申しましょう》による12の変奏曲              
     ハ長調 『キラキラ星変奏曲』 K.265 :W.A.モーツァルト
・韓国ドラマ『冬のソナタ』より <My Memoly> :Ryu/根岸弥生(編曲)
・ソナタ 第8番『悲愴』 ハ短調 Op.13 :L.v.ベートーヴェン

第Ⅱ部
・ノクターン cis-moll 『遺作』 :F.ショパン
・韓国ドラマ『冬のソナタ』より <最初から今まで> :Ryu/根岸弥生(編曲)
・『アラベスク』『アヴェ・マリア』『貴婦人の乗馬』 :J.F.ブルグミューラー
・GROLIA <希望の光> :千住明/根岸弥生(編曲)
・スケルツォ 第2番 変ロ長調 Op.31 :F.ショパン 
・映画『時雨の記』より <la pioggia> :久石譲/根岸弥生(編曲)
・巡礼の年 第1年(スイス)より <ウィリアム・テルの礼拝堂> :F.リスト

アンコール
・ピアノのために 『プレリュード』 :ドビュッシー
・『幻想即興曲』 :ショパン

-------------------------------------------------------------------------------------------


最後に、根岸弥生プロジェクトについて簡単にご紹介いたします。
根岸さんは「Flu¨gelミュージックシアターハウス施設」建設という目標を定め、活動をしていらっしゃいます。この施設は身体の不自由な方の自立や交流をサポートするためのバリアフリーで安全な空間であり、さまざまなコンサートやイベントが行えて、身体の不自由な方が観客となるだけでなく自らも参加でき、また一般の方も含めて全ての方々が友達のように交流を深められる場であり、それらの活動を通じて社会参加を促進することを目指す、多目的ハウスとのことです。
2004年に「Flu¨gel フリューゲル」(ドイツ語で「翼」「グランドピアノ」の意)というグループを発足、現在日本全国にてボランティアコンサートやチャリティーコンサートなどイベント活動中でいらしゃいます。

根岸弥生 Official Website