出演:白尾 隆(フルート)、大須賀 かおり(ピアノ)
第33回話音倶楽部のゲストはフルートの白尾隆さん、ピアノの大須賀かおりさんです。 楽しく、わかりやすい曲の解説を交えながら、素晴らしい演奏を聴かせてくださいました。
1部の1曲目はモーツァルト作曲のソナタハ長調 KV.14です。 モーツァルトが8歳のときに作った曲で、短いけれども、大変完成度の高い曲です、という解説がありました。 明快な楽しい曲で、フルートとピアノのかけあいが印象に残りました。 現代にも大人顔負けの素晴らしい演奏をする天才小学生はたくさんいるでしょうが、8歳であんな曲を作曲したモーツァルトの才能の凄さをあらためて実感しました。 2曲目はプーランク作曲のソナタ。フルートの神様といわれるジャン・ピエール・ランパルのためにプーランクが作曲した曲だそうです。1曲目とはだいぶ雰囲気が変わり、フランス音楽らしいハーモニーとリズムの変化に新しさを感じました。
休憩をはさんで、2部の1曲目はJ. S. バッハ作曲のソナタ イ長調、今回のプログラムの中では一番古い作曲家の曲です。 バッハはフルートを大事にしていた作曲家だそうです。ヴィヴァーチェ=速い、と思っていましたが、第1楽章のヴィヴァーチェはそれほど速く感じませんでした。 作曲された時代により、演奏するテンポも変化しているのかな、と思いながら聴いていました。 プログラム最後の曲はロマン派、ショパン作曲の序奏と華麗なるポロネーズ。 元はチェロとピアノの曲で、フルートとピアノ用に編曲されたものだそうです。 ショパンらしい華麗なメロディーと、ときに力強いピアノの迫力に圧倒されました。
熱い拍手に答えてアンコールを演奏してくださることになりましたが、その前に白尾さんがお客様からの楽器や奏法についての質問に答えてくださいました。 フルートは、チューバのような大きな楽器よりも、息をたくさん使う楽器で、呼吸は20〜30秒しか続かないのだそうです。 口の中の空気を吐きながら同時に鼻から吸う、という長いフレーズを吹くときに使われる循環呼吸の実演に会場は更に盛り上がりました。
アンコールの1曲目はモーツァルト作曲のロンド。 ヴァイオリンで有名なハフナーセレナーデのフルート版です。 2曲目はプーランク作曲の歌曲、愛の小道という曲でした。 シャンソン風の曲で、歌声が聞こえてくるような雰囲気を感じました。
バロック、古典派、ロマン派、近代フランス音楽、と4つの時代の曲を聴かせていただき、それぞれの違いを耳で感じることができた貴重な、素晴らしいコンサートでし た。
(田島 記)
● プログラム ●
/// 第1部 ///
・ソナタ ハ長調 KV.14 (W. A. モーツァルト)
・ソナタ (F. プーランク)
/// 第2部 ///
・ソナタ イ長調 (J. S. バッハ)
・序奏と華麗なるポロネーズ (F. ショパン)
−アンコール
・ロンド (W. A. モーツァルト)
・愛の小道 (F. プーランク)