片岡マンドリン研究所
話音倶楽部
2005年02月19日  第31回話音倶楽部

出演:ドゥーズ コルデ
   平倉信行(ギター)と田嶌道生(ギター)

7年目を迎えた話音倶楽部。 第31回コンサートはギタリストの平倉信行氏と田嶌道生氏のデュオグループ「ドゥーズ・コルデ」をお招きしました。 「ドゥーズ」は英語のダース(12)のこと、「コルデ」は弦のこと。 12本の弦、つまり2本のギターを一つに聴かせたいという意味を込めて「ドゥーズ・コルデ」と名づけたそうです。 その名の通りの息の合った演奏を聴かせてくださいました

第31回話音倶楽部 第31回話音倶楽部

Ⅰ部、まずはJ.S.バッハの曲。 誰もが知っている「主よ人の望みの喜びよ」、そしてチェンバロの曲を編曲したという「エコー」と「メヌエットⅠ,Ⅱ&ジーグ」。 ブラジルのショーロやアルゼンチンのタンゴを得意とするドゥーズ・コルデのお2人ですが、バッハの曲も1979年のデュオ結成時から演奏してきているとのことで、昨年リリースされた3rdCD『J.S.バッハ』にも収録されている3曲の演奏でした。 ギター2本の音が解け合って、ピッチカートの響きや、はやいパッセージの動きが小気味よく、格調高いバロック音楽の世界を創り出していました。

Ⅰ部後半はブラジル音楽です。 ブラジル音楽の巨匠R.ジナタリが、ブラジルのショーロの四大作曲家をモチーフに作曲した組曲「肖像」から2曲。もともとはバンドリンとオーケストラのために書かれたバンドリン協奏曲だそうです。 ギターデュオへの編曲は平倉氏と田嶌氏ともに行うとのこと。バッハでもショーロでもタンゴでも、2人で弾いたらどうか、自分達の世界が創れるかどうか、ということを考えて、音楽のジャンルにこだわらずに互いが好きな曲を、編曲し演奏しているとのことでした。

第31回話音倶楽部 第31回話音倶楽部

今回の話音倶楽部では、お客様の間にテーブルを配置して、そこにワインやチーズを置かせていただきました。 休憩の和気藹々とした雰囲気の中、Ⅱ部が始まりました。 Ⅱ部はショーロとタンゴの演奏です。 お2人は、Ⅰ部、Ⅱ部を通して、とても話題豊富な楽しいトークも聞かせてくださいましたが、Ⅱ部で演奏するショーロについても、いろいろと語ってくださいました。ショーロには日本の侘び寂びに通じるような“泣き”の意があり、ブラジルの中のインドアな部分だそうです(アウトドアな部分はサッカーやサンバ、リオのカーニバルなど)。 ブラジルでは家庭の庭やあるいは酒場など、周りが騒がしいところで演奏することがほとんどなので、ブラジルのショーロ奏者が日本に来ると、お客さんが静かに聴いてくれる!と驚くとのこと。 またショーロにはもともとは歌などが入らず、楽器がメインの音楽なので、演奏者にとって楽しい音楽なんだそうです。 そのショーロ音楽を、ショーロで一番有名な曲「ティコ・ティコ」を含む4曲を演奏してくださいました。 そのあと、A.ピアソラのタンゴを2曲。「アディオス・ノニーノ」(さよならお父さん)はピアソラがアルゼンチンを離れてアメリカにいる時に亡くなったお父さんのことを書いた曲で、やさしい切ないタンゴのメロディーが心に沁みました。

アンコールでは、テーマを2人で弾き、その合間に1人がバッハの曲を弾き、またテーマを2人で弾き、合間にもう1人が違うバッハの曲を弾き、というのをかわるがわる繰り返すという曲(本来は誰がどれだけバッハの曲を上手く弾けるかを競うのだそう)と、アメリカのカントリー音楽からの曲を弾いてくださって、大きな拍手のうちにコンサートが終了しました。

終演後、演奏者を囲んでの打上げの席で、なんと、お2人は幼稚園以来の幼なじみ!とのことが話題に。演奏もトークも息がぴったり!なわけですね。 素敵な演奏と楽しいトークをありがとうございました。
(都筑 記)