片岡マンドリン研究所
話音倶楽部
2004年01月17日  第27回話音倶楽部

出演:竹内太郎(バロックギター)

第27回話音倶楽部 第27回話音倶楽部

2004年、最初の話音倶楽部コンサートにはロンドンを中心に世界的に活躍しておられる古楽器/ギター奏者、竹内太郎さんをお招き致しました。 1600年代にイタリアで製作されたというオリジナルのバロックギターによる演奏。 お客様はバロックギターを見るのも聴くのも初めてという方が多く、興味津々といったところ。 竹内さんからは演奏の合間合間でバロックギターの解説、演奏方法や当時の音楽についてなどのお話があり、その度に関心の声があがっていました。 今のギターでは見られない、かき鳴らしと指弾きのコントラストが特に印象的でした。

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II部では絃楽器製作家、三野氏製作のマンドリーノにより17世紀にスコットランドで演奏されていたという華麗な小曲を数曲演奏されました。 マンドリンはピックで弾くものというという認識の方も多いのか、5本の単弦楽器によりピックを使わず指で弾いている姿が特に印象に残ったようです。 また、片岡先生所有の18世紀スタイルマンドリンとバロックギターのデュオも他ではなかなか聴くことの出来ない組合せでした。 この18世紀スタイルマンドリンの高音がキレイ!と竹内さんも関心しておられました。

ここでバロックギターソロに戻り、「キラキラ星」による変奏曲。 1部ではバロックギターの特徴的な曲が集まっていましたが、ここではアルペジオ等、現在のギタースタイルに近い楽曲の紹介がありました。 途中、当時の楽曲のコード進行によるクイズがありましたが、同じコード進行で出来ているとお話があった曲、皆さん分かりましたでしょうか? ジャズのスタンダードナンバーである「枯葉」だったのですが。 最後は、竹内さんのCDにも納められているフォリアによる変奏曲でバロックギターの魅力を余すことなく披露。 竹内さんのお話も大変面白く、あっという間の2時間半でした。

● プログラム ●
/// 第1部 ///

・スパニョレッタ (ガスパル.サンス c.1674)
・カナリオス (ガスパル.サンス c.1674)
・シャコンヌ (フランチェスコ.コルベッタ c.1648)
・プレリュードとエール (ニコラ.マテイス c.1682)
・ソナタとパッサカリア (ゲオルグ・フリードリヒ・ヘンデル/竹内編 c.1720)
  - プレリュード
  - アレグロ
  - ラルゴ
  - アレグロ
  - パッサカリア

/// 第2部 ///

・17世紀スコットランドの民謡曲集より
   (三野氏製作のマンドリーノによる演奏)
・メヌエット (バッハ)
   (18世紀スタイルマンドリンと共に:マンドリン 片岡道子)
・「キラキラ星」による変奏曲 (アントワーヌ・ル・モン c.1780)
・スペインのフォリアによる変奏曲 (フランソワ・ル・コック c.1730)

打ち上げでは楽器による奏法の違いや、それまでの苦労、ロンドンでの生活のお話など、貴重なお話をお伺いすることが出来ました。 特にバロック音楽については質問をされる方も多く、竹内さんは、当時の演奏スタイルや舞曲との関係、その背景にあるものなど、丁寧にお話されていました。

第27回話音倶楽部

■竹内 太郎
京都に生まれる。4歳より鍵盤楽器を、10歳よりギターを学ぶ。
クラシックギターを宮崎七郎氏に師事。

立教大学法学部卒業後、ロンドン市奨学金を得て英国ギルドホール音楽院に留学。 リュート、アーリーギターおよび通奏低音をナイジェル・ノース氏に師事。 ディプロマを得て古楽科修了後は、ヨーロッパ各地で演奏会を行なう。

1992年に日本に帰国し、古楽器の演奏/教授活動を行なう。 ソロおよびアンサンブル活動の他、NHK名曲アルバム「涙のパヴァーヌ」、NHK 大河ドラマ「秀吉」、映画「耳を澄ませば」などの古楽器演奏を行なう。 また現代ギター学院(古楽器科)、淑徳学園ギターなどの講師を務める。

1997年から1年間、文化庁在外派遣芸術家としてロンドンに派遣され、バッハおよび 17、8世紀のギター音楽の演奏研究を行なう。
1998年からイギリスに定住し、本格的に海外での活動を行なっている。
1998年度ワルシャワ・ショパン音楽院招聘教授。

通奏低音奏者として、これまでにベルリン・フィルハーモニー・オーケストラ、ポー ランド国立オーケストラ、グラインドボーン・オペラ、イングリッシュ・ナショナル ・オペラ、キングズ・コンソート、パーレイ・オブ・インスツルメントなどと共演、 CD/ヴィデオ製作に参加している。またナイジェル・ケネディと競演したCD/DVD 「ヴィヴァルディ:四季」は高い評価を得て、2003年ー4年にはリリース記念ワール ドツアーに参加している。
アンサンブル奏者として、これまでに10枚のCDを発表しており、2002年度には初の ソロCD「フォリアス!:18世紀のヴィルトォーゾ・ギター音楽」がリリースされ英 グラモフォン誌などで高い評価を得た。

古楽器とその奏法に関する記事/論文も多い。現在、日本リュート/アーリーギター 協会会報にロンドン通信を連載中の他、ギター専門誌「現代ギター」などに多くの論 文や楽譜、記事を発表している。

英国リュート協会(LS)理事、日本リュート・アーリーギター協会(LGS)ディレクター