出演:都筑道子さん(コントラバス)さん、木之下亮子さん(バイオリン)
荻原ミナさん(チェロ)、淺田淳子さん(ピアノ)
第25回話音倶楽部のゲストは、コントラバス奏者の都筑道子さんと音楽仲間である ヴァイオリニストの木之下亮子さん、チェリストの荻原ミナさん、ピアニストの淺田 淳子さんの4人です。それぞれの楽器による独奏や、二重奏、三重奏などバラエ ティーに富んだ、豪華なコンサートとなりました。
1曲目はコントラバスとピアノによるアルビノーニの「アダージオ」です。大変有名 な曲ですが、コントラバスがメロディーを奏でることで、より一層曲の重厚さが増し たように感じられました。次に演奏されたのは、オペラ作家ロッシーニ作曲の「チェ ロとコントラバスのための二重奏曲」です。2つの低音楽器という珍しい組み合わせ ですが、豊かなハーモニーは新鮮で心地よいものでした。1部の最後はヴァイオリン 独奏による「ツィガーヌ」です。ツィガーヌとはジプシーを意味します。印象派を代 表する作曲家ラベルのイメージとは異なり、激しく、あでやかで、エンディングの盛 り上がりはとても情熱的でした。
休憩をはさみ、2部はコントラバスの独奏で始まりました。楽器を演奏しながら、楽 譜に書かれた台詞とアドリブの台詞を間違えることなく話す、という大変ユニークな 曲です。「フェイリング(失敗)」という題の通り、作曲者は演奏者が失敗すること をねらって、このちょっと意地悪でユーモラスな曲を書いたそうですが、今回は失敗 ではなく大成功。演奏と台詞のテンポ、絶妙な間合いがとても楽しいパフォーマンス でした。2曲目のチェロ独奏による「エレジー」では、チェロが奏でる、深く、味わ いのある歌が心にしみました。続いて、ピアノ独奏で「亜麻色の髪の乙女」「アラベ スク」が演奏されました。透明感があり、やさしく流れるようなピアノの音に、体が 溶けていくようでした。最後は「グラン・デュオ・コンチェルタンテ」。元々はコン トラバス2台のための曲ですが、第1コントラバス・パートがパガニーニによって ヴァイオリン用に編曲されたそうです。プログラムのフィナーレにふさわしい大変華 やかな曲で、楽しんで演奏される様子が印象的でした。
アンコールにはコントラバスとピアノで、マンドリンのためにベートーヴェンが作曲 した「ソナチネ ハ長調」とクーセヴィツキー作曲「悲しみの歌」の2曲が演奏され ました。大きな楽器と満員のお客様のためにいつもとちょっと違ったセッティングの スタジオで、楽しく、なごやかに音楽にひたったひとときでした。(飯田 記)
● プログラム ●
/// 第1部 ///
アダ−ジオ ト短調 ・・・ アルビノーニ(ベレッツァ編)
チェロとコントラバスのための二重奏曲 ・・・ ロッシーニ
ツィガーヌ (演奏会用狂詩曲) ・・・ ラヴェル
/// 第2部 ///
フェイリング コントラバス独奏のための難曲 ・・・ジョンソン
エレジー 作品24 ・・・フォーレ
亜麻色の髪の乙女 ・・・ドビュッシー
アラベスク 第1番 ・・・ドビュッシー
グラン・デュオ・コンチェルタンテ ・・・ボッテシーニ