片岡マンドリン研究所
話音倶楽部
2002年06月23日  第20回話音倶楽部

出演:千葉純子さん(ヴァイオリン)、浦壁信二さん(ピアノ)

第20回話音倶楽部 第20回話音倶楽部

20回目となる今回の話音倶楽部は、千葉純子さんのヴァイオリン、浦壁信二さん のピアノ伴奏によるコンサートでした。 千葉さんは、世界各国のオーケストラと競演、ソロ、室内楽、いろいろな音楽祭 等への出演と、音楽界の第一線で活躍中の一流のヴァイオリンニストです。また、 伴奏の浦壁さんも室内楽や伴奏で活躍のほか、作曲家でもある多才な方です。 そんな、お2人の演奏を手の届く距離で、まさに目の前で(話音倶楽部の特徴で すね)聴くことができ、感動と興奮の2時間でした。 千葉さんはヴァイオリンを持って私たちの前に立っている姿からして音楽的で、 その演奏は私たち観客の気持ちを引きつけてやまない魅力に満ちたものでした。 小柄な千葉さんからは想像も付かないほど音量は大きく表現力が豊かで、静かで 美しい流れるような部分とダイナミックで激しい部分との対比は、目を見張るほ ど素晴らしいものでした。フレーズははっきりとわかりやすく、それでいて休符 の間も続いていく音楽が感じられる。そして、どんな部分も全体の一つの音楽の 流れの中に自然に組み込まれていく。さらに観客の私たちもその中へと引き込ま れていきました。

有名なベートーヴェンのヴァイオリン・ソナタ「スプリング」で幕を開け、私た ちがよく知っている曲を多く演奏して下さいましたが、なんと、マンドリンのオ リジナル曲であるカラーチェ作曲の「アダージョ」が演奏曲目に入っており、びっ くり。マンドリンでの演奏とは違う雰囲気を味わいました。最後はヴィエニアフ スキの「華麗なるポロネーズ」で華やかに終演。演奏は、もちろんミスタッチは なし、どんな曲もいともたやすく優雅に弾かれ、それでいて豪快で大胆。多様な 要素をふんだんに織り込んだ、まさにプロ奏者の魅せる演奏でした。ピアニスト の浦壁さんとの息もぴったり。時に独奏は、伴奏は、などと別々にとらえて演奏 を聴いてしまいますが、お2人の演奏はヴァイオリンとピアノがお互いにじゃま にならず、一つの音楽として聴こえ、独奏と伴奏とはこう聴こえなくてはという ものをみせて下さいました。

トーク中の千葉さんは親しみやすい等身大の女性ですが、話の端々から音楽への 情熱と興味の強さを感じ、はっきりとしたプロ意識を持って音楽と係わっている 姿勢がうかがわれました。「毎日5時間以上の練習を欠かさない(基礎練習に3 0分、あとは曲作りの中で練習していくそうで、集中した中身の濃い5時間なの でしょう)」という言葉からも、プロの厳しさ、曲への造詣の深さを感じました。 これが一流の音楽家の演奏というものか、と圧倒されるような思いで聴き入った 至福の2時間でした。